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【資格】技術士二次試験(情報工学部門) 筆記試験対策

前回に続いて技術士二次試験の筆記試験対策について記します。振り返って書いてみたところ、だいぶ長くなってしまいましたため、読みづらい部分は申し訳ありません。

技術士二次試験の筆記試験はいくつかのパートに分かれて試験がされます。
私の受験したH29年度では以下のような構成でした。*1

  1. 必須科目Ⅰ:択一式で20問から15問を選び回答。部門で共通の問題。
  2. 選択科目Ⅱ:論述式。問1は4つの問題から2問を選択、問2は2つの問題から1問を選択できる。
  3. 必須科目Ⅲ:論述式。2つの問題から1問を選択できる。

後述しますが、試験は一日がかりで実施されます。私は東京会場を選びましたので、場所は東大駒場キャンパスでした。(ちなみに一次試験は府中の東京外語大だった気がします。)

対策に使用した参考書

一次試験と異なり、Amazonで買えるような情報工学部門の試験対策本はほぼ存在していないようです。そのため、私は「新技術開発センター」の出している参考書「解答事例集」を購入しました。

pe.techno-con.co.jp

5,000円と書籍としては少々お高いですが、情報工学部門においては、情報が毎年アップデートされている参考書というだけでも貴重であるため、ケチらず購入をいたしました。全ての選択科目に対して、論述問題の記載例なども網羅されており、買って良かったです。

筆記試験全般のお話

技術士の筆記試験はとにかく長いです。といっても論述問題を回答しているときには一瞬に感じますが、実際は各パート2時間程度の集中を強いられるため、頭がヘトヘトになり、終わったときには半ば放心状態であったことを覚えています。

少し分野が異なりますが、よく「受験後は疲れる」「長い」と言われるTOEICは、2時間の試験ですし、比較的分野の近いIPAの高度試験であっても、2時間のパートは最後の午後Ⅱだけです。

また、情報工学部門を受験する方はコンピュータと一日向き合う事はあっても、一日鉛筆を使い続けるという事はあまりない方も多いのではないかと思いますので、地味に体力も削られます。

集中力に自信の無い方は、自宅で時間を測って過去問を解いてみる、他の試験を受けてみて集中力が続くか試してみる、などの方策を実施してみたほうが良いと思われます。

必須科目Ⅰの対策

必須科目は、選択科目問わず部門共通で出てくるため、情報工学全般の知識が問われます。こちらの勉強は以下の二つを実施しました。

  • 過去問を解く。
  • IPAの過去問(選択問題)を解いてみる。

技術士試験の過去問を解くことでざっくりとどのような問題の出し方をされるかの当たりを付け、同じような系統であるIPAの過去問をいくつか解きました。必須科目で出る試験は自分の考察が必要な問題が出るというよりは知識試しに近いため、「出来る限り問題を解く」というアプローチが正攻法だと考えました。

この部分は合格ラインの点数を取れればよいですし、問題も20問から15問選択できるようになっているため、それほどがっちり対策をするというよりは時間があるときに問題を解いてみる、という程度で済ませました。

なお、必須科目Ⅰについて、私は合格ラインかなりギリギリでしたが、口頭試験でその部分を問われることも特にありませんでした。合格点が取れていれば口頭試験に影響するようなことは無いのかなという印象です。

選択科目Ⅱ・Ⅲの対策

解答の構成に関する学習

筆記試験の本番ともいえる箇所です。この部分は前述した新技術開発センターの参考書である「解答事例集」を中心に使いました。(というより他に参考にできるものがありませんでした…)

選択科目は記述問題であり、出題される問題に対して必ず正解が一つという類の物でもありません。そのため、解答事例集の使い方も、問題を解いて答え合わせをする、という使い方ではなく、問題を見た後、いきなり答えを見てしまっていました。自分とは別の観点で解答が書いてあった場合、答え合わせができるわけでもなく、かつそれが不正解とも言えないためです。

解答事例集の答えで何を見るかという点ですが、一番重要視したのは各解答の 文章の組み立て方 です。本番では制限時間内に文章を書き続けなくてはならない以上、解答の文章構成は非常に重要であり、解答を書き始める前に考えなくてはなりません。

解答事例集の答えは「技術士試験でこう記載すると評価されるであろう」内容が記載されておりますので、文章をどう構成するか、個別の文はどのような書き方をするのか、どういうときに図を使っているか、という部分を分析するように読みました。私は「ソフトウェア工学」を選択していましたが、他の科目の解答も文章構成の観点では非常に参考になりますので、全解答に目を通したと思います。その上で、「自分だったらこの問題はこう解答する」というシミュレーションを行いました。

上に記載した「シミュレーション」ですが、実際に原稿を書いてみたわけではなく、ざっくりと頭の中で「こんな感じの文章を書くかな」という事を考えるだけです。これは知識ではなく、文章の書き方の訓練であるため、もし分からない分野の問題が出てきたとしても、その分野をネットで調べて「ああ、こういう意味か」と理解できた時点で文章を頭で構成してみる、という作業を繰り返すような形を行いました。

知識部分の学習

上に記載したのは解答の書き方の学習ですが、出されている問題の意味が理解できなければ、解答もしようがありません。そのため、知識部分の学習も行いました。といっても、選択問題は〇×問題ではないため、過去問ではどのような内容が出ていたかを調べたあと、自分の選択分野について関連しそうなワードをネットでざっくりと調べていったような形です。例えば私の選択科目である「ソフトウェア工学」であれば開発技術やプロジェクト運営の内容が多かったため、それらに関連しそうな部分を調べていきました。

また、二次試験の申込時に「専門とする事項」を記載すると思いますが、申込要領に選択科目と専門とする事項の対応例が載っていたため、その部分をみれば自分の選択科目にどのような分野が出てくるかは概ね当たりが付けられるかと思います。もう一点重要なのは、いわゆる「流行り」の出題がされる可能性もある、という点です。私の合格した2017年度の試験ではAIに関する出題が出ましたし、その前はIoTやアジャイル開発、クラウドに関する出題もされていたようです。別記事で書きますが、口頭試験でもその手の流行分野について問われましたので、ご自分がその手の分野に関係ない方でも、一通りさらっておくのが良いかと思います。

その他の留意事項

一部重複する部分もあるかもしれませんが、そのほか試験対策や本番で心がけた点を記載します。

机にはほぼ向かわなかった

あくまで私の方法ですが、筆記試験全般の対策として、いわゆる机に向かっての勉強はあまり行いませんでした。上に書いた対策はいずれも参考書があれば、机に向かわなくとも実施できる内容が多いためです。技術士の筆記試験で特に重要なのは記述問題の部分ですが、この部分も「あるテーマに対してどのように文章を組み立てるか」を頭でシミュレーションしてみる事を繰り返し行っていたため、原稿用紙は一枚も書いていません。このやり方が正しいかどうかはわかりませんが、原稿用紙を書いている時間を取るよりはシミュレーションをこなすほうを優先したこと、またアウトプットとして原稿用紙を書いたところで採点しようがなかったためです。

ただし、以下のようなケースの場合は、原稿用紙と向かい合う時間を取ったほうが良いと思います。

  1. 添削してくれる人がいる場合
  2. 「制限時間内に文章を大量に書くこと」に自信が無い場合

前者は当然添削してもらうためには書いたものを用意する必要がありますので、原稿用紙に向かって書く必要があります。

後者についてですが、「制限時間内に文章を大量に書く」とき、私自身は、

  1. 問題を全部見て、結論部分を決める。
  2. 論理展開(起承転結)を考え、ざっくり何行くらいで書くか決める。各部分(例えば"起"の部分)をどのような展開に持っていくか決める。
  3. 決めた内容に従って、書きだす。細部は書きながら考える。
  4. 書いている最中に決めた展開や論理に矛盾がないかは逐次チェックする。また二・三文を書いた時点で、文中で何かおかしな表現がないかはチェックしてみる。

という形をとることが多いのですが、この3,4の部分に自信のない場合は実際に書いてみるという事をやったほうが良いように思います。上に書いた「シミュレーション」はこの1,2のトレーニングに当たります。3,4の部分は実際に書いてみて慣れていくしかないため、この部分を鍛えるには机に向かって原稿用紙を相手にする作業が必要でしょう。

記述ではとにかく鉛筆を止めない

実際に受験してみて感じたのは、記述試験はとにかく時間が無く、一回仕上げた後に大きな見直しをしている時間はほぼありませんでした。試験時間中、とにかく鉛筆を止めずに書き続けてその状態でしたので、時間的余裕のある試験ではありません。

そのため、一つ一つの文章を推敲しながら書く余裕はありません。とにかく鉛筆を止めないで書き続ける事が重要だと思います。集中して鉛筆を動かし続けていると、不思議と次に書くべきことが頭に思い浮かんでくる、という状態に入ることができます。

絶望せずに試験を全部受けること

二次の筆記試験は多段構成であり、どれか一つでも合格点に達しない場合、全体として不合格となります。また、例えば必須科目だけ合格したとしても、免除などもありません。そのため、受験していて「ああ、ここでだめかもしれない」と思ってしまうと、一気に次の科目を受ける気が失せてしまいます。特に試験で頭が疲れた状態だと、「かえって休みたい」気分も相まって、途中で帰りたくなります。

もちろん、強い意志のある方には釈迦に説法でしょうが、あきらめずに最後まで受けることが重要だと思います。私自身も、実際必須科目や選択科目Ⅱの出来が自分では良くないと感じ、途中で放棄しようかとも思ってしまいましたが、結果としては合格する事が出来ていました。

特に「選択科目Ⅱ・Ⅲ」は試験官が見て評価をしますので、自分では「ああダメだった」と思っても予想より良い評価をされる可能性は大いにあります。最後まであきらめず試験に臨むことをおすすめします。

選択科目Ⅱ・Ⅲは良い得点を取るよう努力すること

何を当たり前の事を、という内容ですが、選択科目Ⅱ・ⅢのいずれかでB評価があった場合、筆記としては合格となった場合でも、口頭試験でその部分を問われる可能性があります。

私は選択科目ⅢがB判定でしたが、案の定口頭試験でその部分を問われました。他サイト様でも「口頭試験でB判定をA判定に出来るような応答が出来ないと応答は難しい」という記載がありましたが、恐らくその通りかと思います。そのため、選択科目Ⅱ・Ⅲは最低限合格すればよい、という気構えではなく、より高い得点を採れるとあとが楽なのだと思います。

*1:近い将来、二次試験の形態が変わるというお話も聞きましたので、変わっている可能性もあります。