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【資格】技術士二次試験(情報工学部門) 口頭試験編 前編

前回まで出願までと筆記試験対策について書きましたが、完結となる口頭試験について記載していきます。口頭試験片は非常に長くなりそうですので、前編後編に分けて記載します。

■出願まで:
pioneerinocean.hatenablog.com

■筆記試験対策:
pioneerinocean.hatenablog.com

口頭試験について

受験者の方には説明するまでも無いかもしれませんが、口頭試験は

  • 筆記試験に合格した人のみ
  • 筆記試験の実施された年の11月下旬~翌1月中旬のいずれかに実施*1

という形で実施されます。私は筆記試験に合格しているとは思っておらず、口頭試験実施時期に色々予定を入れてしまっていたため、口頭試験実施の通知が届いた後、慌てて予定調整を行う事になってしまいました。口頭試験の実施日は「いかなる理由でも」変更出来ません。筆記試験に自信がなかった方も、合格の可能性を考えて当該期間は出来るだけ空けておくようにしましょう。

私の口頭試験体験記

私自身の口頭試験についても当日の流れと共に記載しておきます。

  • 受験日:12月上旬の某休日 午後昼過ぎ
  • 場所:フォーラムエイト
  • 筆記試験の結果:選択科目Ⅱ:A 選択科目Ⅲ:B
試験開始まで

普段はスーツを着ないで仕事をしているため、久しぶりにスーツとネクタイを締めて余裕をもって渋谷に向かいました。服装の指定はありませんが、スーツ以外の選択肢は基本的に無いと思ったほうが無難です。

かなり早めに着いたため、飲食店で食事と業務経歴の最後の見直しを行ってから、フォーラムエイトに到着しました。フォーラムエイト到着後、試験票に指定された受付にて、試験票を見せて名前を伝えると、自分の試験会場と待合室を案内してくれます。試験開始前までは、待合室で待機することになります。*2

待合室は非常に広く、試験に臨む方が大勢待っています。無言で直前の見直しをしている方がほとんどですが、別の受験者と話をしている方もいました。私のすぐそばには、初対面の受験者同士で直前の見直しをしている人などもおりました。

試験直前10分前くらいに、待合室を出てトイレを済ませてから会場のある階に向かいます。各会場の前には椅子が一つ置いてあり、前の受験者の試験が終わるまではそこに座って待つことになります。前の受験者の試験が終わり次第、ドアが開いて試験官の方から中に入るよう声をかけられます。

口頭試験開始

口頭試験そのものについては、流れを思い出しながら記載します。試験官の方は50~60代の大学教授風の女性(試験官Aとします)と、官庁に務めていそうな40代くらいの男性(試験官Bとします)でした。主に女性の方から質問がされました。

試験会場は会議室のような部屋ですが、就職活動の面接のように、試験官と対面する形で試験を行います。入室後、椅子の隣に立って自分の名前と受験番号を告げると、「お座りください」と促されます。人に依っては着席後、場を和ませるような話をされることもあるようですが、私の場合はすぐに質問が飛んできました。

なお、以下の問答のうち、赤字箇所は私が想定していなかった、又は対応に苦慮した質問です。

試験官A(以下"試A")「では、業務経歴をどのような立場かを添えて簡単に3分程度で教えてください。」
私「業務詳細の部分は除外してよろしいでしょうか。」
試A「経歴の部分だけ簡潔に教えて下さい。
私「承知いたしました。まず、私は〇〇株式会社に・・・~以下略~」

試A「そのプロジェクトの中で、失敗事例はありますか。」
私「はい。○○のプロジェクトで△△という技術を使ったのですが、これは□□という処理を行うには非常に都合がよかったのですが、ユーザ側のインタフェースが限定される事と利用時に学習コストがかかるという問題を引き起こしてしまいました。」
試A「その失敗をどのように活かしましたか。」
私「現在やっている××の技術開発では、インタフェースを分かりやすくするため、tsv形式やRestfulなAPI形式でユーザや他システムとの境界点を分かりやすくするよう心がけています。」
試A「それだけではないと思いますが、他には何かありますか?
私「他には導入障壁を下げるために■■といった工夫をしたりしています。」

試A「別の分野について聞いていきます。AIについてですが、これを用いた開発で気を付ける事は何だと思いますか。」
私「AIとは機械学習を用いたコンポーネントとして捉えられると思いますが、テストパターンを作ることが難しいと考えます。」
試A「それはなぜですか。」
私「機械学習によって作成されたモデルは、入力によって何を返すかを事前に知ること、またそれが正確であるかどうかをテストケースとして事前に定める事が難しいからです。」
試A「ではそれをどのように解決しますか。」
私「私自身がそのような物を扱った経験から申し上げますと、モデル部分のテストとそれをコンポーネントとしてみたときの部分のテストを分けて考える事が重要だと思います。」

試B「今、テストのお話がでましたが、IoTのおけるテストについての問題は何がありますか。
私「IoTは様々なデバイスやシステムが繋がっていく形になるため、相手のインタフェースを想定したテストが必要になります。」
試B「それについての解決策は何かありますか?
私「自分の開発するコンポーネントについては、あらかじめインタフェースの仕様を定め、スタブやドライバに相当するモノを予め作って配布する事で、対向先の負担を減らすことができると思います。」

試A「技術士の3義務2責務について教えてください。」
私「はい。3義務が信用失墜行為の禁止、秘密保持の義務、名称表示の場合の義務、2責務が公益の確保と資質向上の責務です。」
試A「技術士として、今後はどのように貢献するつもりでしょうか。*3
私「えー、そのご質問は先ほどの3義務のお話に関連してでしょうか。」
試A「それでもいいですよ。
私「信用失墜行為については社会的な問題になるケースが多いため、それになりかけてしまった事象を積極的に社内共有するなどを行っていくことが重要だと思います。」
試A「信用失墜行為について仰っていますが、もしあなたがそのようなケースに遭遇してしまった場合はどうしますか。」
私「まずは利害関係者、直属上長と相談し、解決を試みたいと思います。」
試A「それでも解決しなかった場合は?」
私「社内の広域通報窓口がありますので、そちらに相談します。」

試A「ちなみにあなたの会社に技術士会はあるのですか?
私「はい。あります。入会したいと考えています。」
試A「何人くらい所属しているのですか?
私「申し訳ありません。具体的な人数までは把握しておりません。」
試A「これで試験を終わります。ありがとうございました。」
私「ありがとうございました。」

少し抜け漏れがあるような気がしますが、おおむね上記のような形です。時間としては20分と言われていたところ、18分で終了しました。文字にすると、私がスラスラ答えているように見えますが、実際はもっと多くの言葉数を費やしていたりすることが多いです。

私の口頭試験について

見ていただくとわかる通り、かなり想定外の質問がありました。

  • 「業務詳細」を中心に業務関連の話が展開されるはずが、そこをカットされた。
  • IoTについては受験年度の筆記試験では特に触れられていなかった。
  • 技術士としての貢献については話の流れから唐突に聞かれた。
  • 自社内の技術士会について聞かれるケースは想定外、ましてや人数まで聞かれるとは。

まず、1点目の「業務詳細」は口頭試験の中心となると聞いていたため、これをカットされるケースは想定外でした。結局、口頭試験中、私の提出した「業務詳細」について問われることはありませんでした。

2点目のIoT関連の話題については、全く想定外でした。試験問題がAIについてであり、そこの評価がBであったので対策はしていたのですが、IoTはその前年度で取り上げられた話題であったので、突然聞かれることは想定をしておりませんでした。

3点目の「技術士としての貢献」は問答としては想定していたのですが、その直前に3義務2責務の話から、合間を置かず聞かれたため、「3義務2責務に関する質問なのか」と私が誤解していたようです。試験官の方とのやり取りを冷静に思い出すと、恐らく3義務2責務以外の部分について求められていたような気がします。

4点目は「技術士会に入会するか?」という質問は想定していたのですが、「社内の」技術士会について聞かれることは想定外でした。私の所属企業はそれなりに大きい企業のため、技術士会が存在するかもしれない、と思われたのかもしれません

上記4点の想定外質問もそうですが、はっきり言って試験官が求めている物ではない回答をしてしまっている部分もあったと思います。ですが、結果は合格しておりましたので、口頭試験の態度としては、

  • 想定外の状況でも黙り込まないこと。その場で頭を回すこと。
  • どうしても分からないことは分からないと言ってしまうこと。
  • もし、言ったことを否定されても、落ち込んだり喧嘩腰にならないこと。
  • 頓珍漢な回答をしてしまったとしても、別の質問で取り戻せば良いと思うこと

といったところを順守する事が重要だと思います。

*1:試験要綱では「指定する日」としか記載がありませんが、土日以外の実施は無いようです。祝日の実施があるのかは不明です。

*2:受付・待合室・試験会場は同じビル内ですが、別の階でした。

*3:少し記憶が怪しいです。