Railway gun

Web系企業に勤めるサラリーマンが書くブログ

登山初級者が10月初旬の北アルプスにテント泊した時の装備

もう大分前の話になってしまいますが、昨年の10月に友人と唐松岳までテント泊で行ってきました。テント泊登山は経験はあったのですが、10月初旬の北アルプスは冬の始まりと言っても良い状況です。ネットで調べたり、登山ショップのスタッフさんに話を聞いたりして情報収集しましたが、意外とこの時期の装備に関する情報が見当たらなかったので、実際に持って行った寒さ対策用の装備を列挙してみます。

登った山

今回行ってきたのは後立山連峰にある唐松岳です。山自体のレベルが高いわけではなく、登山が趣味の方からすれば「初心者の登る山」という印象が強いと思いますが、唐松岳のテント場は山頂付近にあり、標高2500m超での幕営となり、秋のテン泊のメッカである涸沢よりも高い場所にあります。この時期は氷点下に達するとの情報もあるため、装備は万全にしていかなくてはなりません。

ウェア類

ウェアは大きく分けて登っている最中の行動着とテン場についてからの停滞着です。一番大事と言っても過言では無いですね。

行動着

上半身

上半身はセオリー通り、ベース・ミッド・シェルで構成してます。私の場合はそれに加えてドライレイヤーをいつも着るようにしてます。

ミレーのドライナミックは、登山ウェアでは有名なアミアミのやつですね。

去年くらいから愛用しているのですが、確かにこれを着ていると汗冷えしないです。テント泊のときも登るときから下山後の風呂までずっと着っぱなしで過ごしていますが、特に不愉快な感じもせず、ずっと着てられます。今はファイントラックのドライレイヤーも持ってますが、そのあたりの比較記事はまた書きます。

ロングスリーブジップシャツは夏場の登山で涼しく着るために買った代物で秋山のミッドレイヤーと呼んでいいのか微妙ですし、ベースレイヤーのジオラインもライトウェイトなのでミッドレイヤーをフリースにしようかと思ってモンベルのお兄さんに相談したのですが、「秋の北アルプスと言っても最初から最後まで寒いわけではなく、行動中はむしろ暑いと思うので上に脱ぎ着できるものがあれば大丈夫だと思う。」との事でした。

シェルのAtom LT Hoodyは最近流行りのインサレーションウェアですね。今までソフトシェルとしてはモンベルノマドパーカを愛用していたのですが、防風性や保温性に若干不安があったのと、アークテリクスを着てみたいというミーハー理由で買ってしまいました。ちなみにモンベルのお兄さんには秋山ならノマドパーカで十分暖かいし風も防いでくれると言われましたし、冬キャンプで-5度くらいの中、ダウンを忘れてしまったときも(かなりギリギリでしたが)ノマドパーカで何とか過ごしたことがあるので、多分ノマドでも良かったと思います。(風が強くて寒いならレインウェア羽織ればいいですし)

下半身

下半身は保温用タイツ+トレッキングパンツの組み合わせです。夏山だとワコールのサポートタイツを使っているのですが、今回は持って行きませんでした。

モンベル | オンラインショップ | レインダンサー パンツ Men's



リッジラインパンツは薄手にカテゴライズされるので、中厚出のパンツを買ったほうがいいかなーと思っていたのですが、これもモンベルのお兄さんに聞いたら「下にタイツ履くなら行動中は薄手で問題無いと思いますよ」との事でした。タイツは上半身と同じジオラインですね。夏期のテント泊だとパジャマ代わりに使ってます。登山靴とソックスは夏山と同じものです。

下着・グローブ

オッサンの下着なんぞ公開してもしゃーないのですが、一応。

下着は両方化繊ですが、正直ジオラインのトランクスはちょっとチクチクするような感じがあり、個人的にはそこまで好きでは無いです。ウィックロンのトランクスはサラッとしていて愛用してます。

夏山だとグローブはしないのですが、秋の北アルプスは手がかじかむとの事だったので、雨具とセットで使っている防滴グローブに加え、インナーグローブを持って行きました。ちなみにインナーグローブはSサイズ、防滴グローブはLサイズですが、重ね合わせるとちょうどいい感じです。両方Sサイズとかだと入らないと思うのでご注意を。

停滞着

テント場で着る寒さ対策用のウェアとしては以下を持って行きました。

テント場に着いたらこれらに着替える感じですね。上半身はこれにAtom LTを着ます。ただ、この格好をすると全身真っ黒で頭と首が異様に明るい模様になってしまうので、色味はもうちょっと考えればよかったと思ってます。スーパーメリノウールは翌日のベースレイヤとしても使います。

ここまで書いて異様にモンベル率が高いですが、理由は安くて外れが少ないからにつきます。ちなみにアークのAtom LTは約30,000円で購入しましたが、モンベルで同等レベルのインサレーションであるU.L.サーマラップ パーカは公式ストアで12,200円です。1アークテリクス≒2.5モンベルですね。めちゃ安です。ただし、モンベルノマドパーカを街中で着ようとしたら妻から「浮いてる」と言われましたが、アークのAtom LTは「これならセーフ」と言われました。やっぱり見た目的には海外ブランドの方がカッコいいのか…。

ザック

テン泊だと沢山の物を入れるザックは、既に廃盤となってしまったモンベルのエクスペディションパックの旧型を使っています。ただ、このザック、私の体形には合ってないのか、腰ベルトが甘く肩に荷重が強くかかってしまったり、腰ベルトへの物入れやアタックザックになる部分が無いし、レインカバーはついてないし、下面からの荷物へのアクセスが片側ジッパーだけだったりと、正直買って失敗でした。私の同行者はグレゴリーのバルトロを使っていましたが、こっちのほうがはるかに背負いやすい上、物入も豊富で、アタックザックになる物入もくっついてるし、私もこっちを買おうと思っています。ザックは寒さ対策には関係無いんですけどね。

www.amazon.co.jp

宿泊用装備

テントはモンベルのステラリッジテントの2型、シュラフは同じくモンベルのダウンハガー800#1を持って行きました。下のリンクはどちらも最新型ですが、私が持っているのは旧版なので、ステラリッジテントは吊り下げ式でなくスリーブ式、シュラフはシームレスになってません。どちらもなんで最初からそうしてくれなかったのか…。吊り下げ式のステラリッジはスリーブ式より設営が楽です。ちなみにシュラフの下に敷くマットにはインフレータブル式のマットを使ってます。

webshop.montbell.jp

webshop.montbell.jp

シュラフについては#3と#1のどちらを持って行くかかなり悩みました…。が、寒くて凍えなくないと思って#1を持って行きましたが、結果としては#3で十分そうでした。同行者二人は#3で余裕そうでしたし、万が一寒くなったときはインサレーションでも着てれば十分だったなと思います。

まとめ

炊事用のバーナーなどは省いていますが、そこら辺は寒さ対策とは関係無いので省かせて頂きました。ちなみに、慎重な初心者あるあるだと思うのですが、行動中は冬であっても暑いのを忘れずに。氷点下での登山や軽アイゼンで行ける雪山歩きなどもやってみましたが、歩いていれば普通に暑くベースレイヤーと長袖のシャツで十分と思う事も多いです。暑さ寒さの感じ方は人それぞれだと思いますが、装備を持って行きすぎても重量になって結局使わない事ということも出て来ますので、ご注意ください。10月の北アルプスと言っても状況や登る山によって大きく異なるとは思いますが、初心者の方の一助になれば幸いです。

THEOやめて全部WealthNaviに移します

3年くらいお金を預けっぱなしにしていたTHEOですが、全額出勤してWealthNaviに全移しすることにしました。元々両方使っていたのですが。

移すきっかけはこれです。
theo.blue

元々、THEOは入金も出金もTHEOのサービス上で簡単に出来ていたのですが、口座自体がSMBC日興証券に移管され、THEOは今後運用のみを担うようです。
ネット証券でもない大手証券の口座を強制的に作らされるのがただ単にクソダルいので、THEOをもうやめてWealthNaviに全移ししようと思います。

過去記事にも書いたんですが、投資資産は現金が必要になったときにさっさと引き出せるようにしておきたいので、非ネット証券で口座開設されるとなると、そこのあたりが面倒くさくなる気がしてしょうがないんですよね。偏見かもしれませんが。
pioneerinocean.hatenablog.com

開設時は名前とかブランディングのカッコよさはWealthNaviよりTHEOの方が上だなー*1と思っておりましたが、最近はWealthNaviの方がよく見えてきています
テレビCMとかはどうでもいいんですが、情報発信の仕方とかサイトの作りとかですかね。WealthNaviはCEOの柴山さんの顔がデカデカと出てるのがいいのかも?THEOも記事とかを見るとちゃんと書いてあるのですが、アクティブファンドとかロボアドとかは「この人が運用しています!」というのが見えている方が印象が良いのかもしれませんね。

NISAについてもWealthNaviは対応しましたが、THEOは対応していません。(NISAはWealthNaviで使ってないですが。)
www.wealthnavi.com

help.theo.blue

ということで、さようならTHEO。いままでありがとうTHEO。ちなみにTHEOとWealthNaviはほぼ同時に開設しましたが、結果は以下の通りです。

現時点(2021/3/14)での利益率 最大ドローダウン 大利益率*2
THEO +12.82% -20.56% +12.82%
WealthNavi +25.42% -21.03% +25.42%

またTHEOに資産を預けたくなる日が来ることを祈っています。

*1:私がアホなだけですが、WealthNaviって名前がなんか健康サポート的な名前に聞こえる。WealthとHealthが被る。

*2:この相場なので、最大利益率=今

立憲民主党の憲法に関する考え方がダブスタっぽく見えてしまう。

新たな立憲民主党が誕生したとの事なので、政策やら何やらを見てみた。新たなといっても実質立憲民主党に国民民主党の一部が吸収されたという感じなので、合併前の立憲民主党とほぼ変わっていない様子。

その中で一つ気になったのが憲法の部分。

cdp-japan.jp

内容については2018年に決定した物がそのまま載せられているので、特に変わっていない様子だが、読んでいて少々ダブルスタンダードな感じを受けてしまった。

安全保障施策の部分については以下の様に記載されている。

立憲民主党のサイトより一部引用>
日本国憲法9条は、平和主義の理念に基づき、個別的自衛権の行使を容認する一方、日本が攻撃されていない場合の集団的自衛権行使は認めていない。この解釈は、自衛権行使の限界が明確で、内容的にも適切なものである。また、この解釈は、政府みずからが幾多の国会答弁などを通じて積み重ね、規範性を持つまで定着したものである(いわゆる47年見解。巻末参照)。

この点については特におかしいところは無い。集団的自衛権を認める認めないはさておき、集団的自衛権の否定は過去の解釈からして規範性を持っているから認められないというのは、何となくわかる。しかし、その後ろの同性婚についてについては以下の様に書かれている。

立憲民主党のサイトより一部引用>
ところで、安倍総理は、「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」、「同性婚を認めるために憲法改正を検討すべきか否かは、我が国の家庭のあり方の根幹に関わる問題で、極めて慎重な検討を要する」と述べている。
この点、憲法24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とされているため、同性どうしの結婚はできないようにも読める。
しかしこの条文は、結婚相手を強制的に親が決めたり、戸主や親の承諾を必要とする戦前の「家」制度から、婚姻をするかどうか、婚姻をだれとするかを本人の自由意思に解放する趣旨である。そうだとすると、異性婚は両性の合意のみによって成立することを定めたものと制限的に理解すべきであり、同性婚について禁止する規範ではないと考える。
憲法の学説でも、同性婚については禁止されていないが、これを採用するかどうかは立法裁量であるという考え方が一般的なようである。

この点についても同性婚を認める認めないはさておくが、今まで「結婚」というのが異性間でのみ認められていた事実については、「規範性は無い」という解釈なのだろうか。集団的自衛権については今まで認められてなかったから規範性があるというのはわかるが、そうであるならば同性婚は今まで認められてなかったことについては、「規範性はある」と解釈されてもおかしくなさそうだが、安全保障法制や自衛隊加憲のところに見られるスッパリと「立憲主義に反する!」と言い切る文言に比べるとゴニャゴニャしたものを感じる。「憲法改正同性婚を可能にすべき!」とはやはり言いづらかったのだろうか。

また、「文民統制」「国政調査権」の項ではドイツ基本法を、「衆院の解散」の点ではイギリスの法律を補強的に使っているが、そうだとすると「自衛隊加憲論」のところでドイツやイギリスについて引用していないのは何故なのだろうか。イギリスは成文憲法でないからと辛うじて言えるが、ドイツ基本法では徴兵制の規定や軍の規定が明示されている。

https://www.gesetze-im-internet.de/gg/BJNR000010949.htmlからドイツ語版を引用
Art 12a
(1) Männer können vom vollendeten achtzehnten Lebensjahr an zum Dienst in den Streitkräften, im Bundesgrenzschutz oder in einem Zivilschutzverband verpflichtet werden.
男性は、満18歳から軍隊、連邦国境警備隊または民間防衛団における役務を義務として課す。

Art 87a
(1) Der Bund stellt Streitkräfte zur Verteidigung auf. Ihre zahlenmäßige Stärke und die Grundzüge ihrer Organisation müssen sich aus dem Haushaltsplan ergeben.
連邦(ドイツ政府の事)は防衛のために軍隊を置く。軍隊における兵数、組織の基本体制は予算を以て明確でなくてはならない。

誤解無きように書くと、自分・組織の主張において切り取り方によって整合性に齟齬をきたすのはよくある話ではあるし、自民党においてもその点は同じ。ただ、立憲民主党は「まっとうな政治」を標榜しており、立憲主義を掲げる以上、この手の部分についてはやはり統一感を感じる書き方をしてほしいと願いたいところだ。

最近、LeetCodeをやってる件

大学時代、プログラミング演習的な授業で競プロの問題をやらされていた反動か、社会人になってからは競技プログラミングにはどうも近寄りがたかったんですが、直近コードを書く機会が増え始め、実装時の計算量想定とかデータ構造の知識とかが甘々な事を痛感するため、LeetCodeをちょこちょこ解くようにし始めました。

ただ、もう頭から全部解いていくような時間も気力も無いオッサンなので、なんかいいとっかかりとかないかなーとか思っていたら、「コーディング面接対策のために解きたいLeetCode 60問」というリストを公表してくださっている方を発見したので、それを取っ掛かりに解き始めました。ありがたやー。

1kohei1.com

LeetCode、解法例も載っているので初心者でも使いやすいサービスだと思うのですが、基本Javaのコード例なのでPythonで同じ解法をした場合のコードとか載せるかもしれません。

意識低いサラリーマンでも続けられる投資手法

社会人になってから10年程度経ちますが、新卒入社後からずっと投資に手を出しています。
30代に入ってから、友人に投資方法を教えて!と言われることがたまにあり、毎回説明するのは面倒くさいので記事にしました。参考になる方がいらっしゃれば幸いですが、投資は自己責任です。この記事を基にして損失が出た場合も責任は負えないのでその点ご了承下さい。まだ追記するかもしれません。

一応の前置き

投資は自己責任というのと、私はファイナンシャルの専門家ではないというところだけ念頭に置いておいて頂ければ飛ばして大丈夫です。

この記事の想定読者

  • 投資を始めてみたいけど、どこから手を付けるべきか分からない方
  • 投資を始めてみたいけど、簡単にやる方法が知りたい方
  • 投資を始めてみたけど、リターンが思うように出ない方

本記事は筆者の投資に対する考え方をまとめたモノです。また、繰り返しですが投資は自己責任です。この記事で取り上げるのは「人並外れて賢くもなく、意識も高くない普通のサラリーマン(私の事)が普段の生活を犠牲にしないで実践している投資手法」です。

これを読めばお金持ちになれる?

この記事の投資手法はこれだけで一攫千金というような性質ではありません。投資にはリスクがありますが、銀行にお金を預けておくよりは良いと私が考えている手法になります。テンバガー*1を狙いたいのであれば、他の記事や本を読むことをお勧めしますが、成果を出せる方は才能がある方です。そのような一握りの方はこの記事など読む必要はありません。

筆者の投資歴

「書いてる人がどんな人か分からないと怖い!」という人だけ読んでください。私の投資歴は約10年ほどです。過去投資をしたことのあるジャンルは以下の通りです。

  • 日本株式(現物・信用)
  • 海外株式(現物のみ)
  • 投資信託
  • 海外ETF
  • ロボアドバイザー
  • 貴金属
  • 仮想通貨

現在の金融資産は現金を除くと、投資信託がメイン、後はロボアド・海外株・日本株あたりです。理由は後で書きます。
投資はそこそこ色々手を出しましたし、投資関連の本や情報は簡単な物から割と専門的な物まで色々読み漁ったとは思いますが、本業はIT企業のサラリーマンでファイナンシャルの専門家ではありません。


とりあえずロボアド投資。(Lv1)

以下の事だけ実施しましょう。

  1. まず、最低10万円を用意しましょう。
  2. ロボアドバイザーサービスのひとつ、WealthNaviのホームページを開きましょう。www.wealthnavi.com
  3. 「口座開設」のボタンを押して指示に従って口座を開きましょう。
  4. 口座が解説出来たら、10万円を入金しましょう。
  5. マイページから「積立」を設定して自分が毎月投資に回す金額を設定し、一ヶ月に一度入金されるようにしましょう。
  6. 一ヶ月に一度の入金タイミングあたりで、投資状況がどんな感じか眺めてみましょう。

以上です。これだけやっておけば後はロボアドバイザーが勝手にあなたの資産を運用してくれます。なお、ググって頂く手間を省いていただくためにリンクを張りましたが、上記をクリックしたとしても筆者には一銭のお金も入りません。Wealthnaviの回し者でもありません。

なんでロボアドを使うだけでいいの?

端的に言ってしまえば、投資に費やす労力無しに長期的にはリターンを得られる可能性が高いためです。我々は投資が仕事ではありません。プロが作った仕組みに投資をし、後は放っておきましょう。「えっ?そんなんでいいの?」と思われるかもしれませんが、それでいいです。

もう少し説明が無いと納得できない人向けに説明をします。以下は私のWealthNaviのポートフォリオ画面です。資産額等は塗りつぶしてあります。

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筆者のWealthNaviポートフォリオ画面

資産の割合を見て頂くと米国株(VTI)・日欧株(VEA)・新興国株(VWO)の合計がおおよそ8割程度を占めている*2ことがわかります。このVTI・VEA・VWOというのは米国のバンガード社が運用しているETF*3なのですが、これらは米国、日本とヨーロッパ(正確にはアメリカ以外の先進国)、新興国それぞれの株式にまんべんなく投資をしています。

つまり、三段論法じみていますが、

  • WelthNaviの資産の大半はVTI、VEA、VWOというETF(≒投資信託)に投資される。
  • VTIはアメリカ、VEAはアメリカ以外の先進国、VWOは新興国の株式にまんべんなく投資される。
  • 世界市場はアメリカ+アメリカ以外の先進国+新興国で(ほぼ)構成されている。
  • よってWelthNaviに投資すれば8割くらいが世界市場を丸ごと買っているのとほぼ同じ。

ということです。要するに世界市場が成長すればあなたの資産も成長します、という事です。そして、世界市場は長期的にみると基本的に右肩上がりです。少なくとも今まではそうでしたし、今後も恐らくはそうでしょう。

「いや!世界市場がそもそも成長しなかったらどうするんだ!」というご意見もあるかと思います。私はプロでは無いのでそこを説明する事は難しいのですが、投資というのは投資対象に経済的な成長を期待してお金を突っ込む行為です。そして経済的成長というのは世界市場自体の成長とリンクしているため、そこを信じられない場合は投資は止めておいたほうが無難かもしれません。あとは、私はエンジニアなのでテクノロジーが成長し続ける限り、世界市場は成長すると思っていますが、もはや何を信仰するかに近い話になるのでこの辺で止めておきます。

なんでWelthNaviなの?THEOや楽ラップじゃダメなの?

ダメということはありません。私はWelthNaviとTHEOを使っていますが、ロボアドバイザー自体は一つのサービスだけで十分です。楽ラップは私自身が使ったことが無いのと、「何も考えずにやる」という前提の場合、楽天証券総合口座開設が若干面倒かもと思い除きましたが、WelthNaviとTHEOはどっちでもいいとは思います。個人的な意見としては、WelthNaviとTHEOそれぞれのサイトにおける実績の見せ方が、WelthNaviは「サービス開始時点」からの運用実績を公表しているのに対し、THEOは「2007年からのシミュレーション」としているため、その点でWelthNaviの方が分かりやすいかなと思い、そちらを選んだだけです。「自分で選びたい!」という方はサイトや事業者の情報を見て信用できると思ったところを選ぶと良いと思います。

もっとやりたければインデックス投信。(Lv2)

何も考えずに投資をするのであれば、ロボアドで十分だと思いますが、もう一歩進んだ投資手法を書いておきます。といっても、こちらの方法も非常に簡単です。まず、やり方を書きます。

  1. SBI証券楽天証券総合口座を開設しましょう。ネットから申し込めます。
  2. つみたてNISA口座を設定しましょう。
  3. 信託報酬が安く、ノーロード型のインデックス連動型ファンド(=投資信託)を一ヶ月に一度つみたてNISA口座で積立購入するよう設定しましょう。
  4. つみたてNISA口座枠を使い切った場合、特定口座で同じファンドを買いましょう。
  5. 一ヶ月に一度の入金タイミングあたりで、投資状況がどんな感じか眺めてみましょう。

購入するファンドは「絶対これ」というのはありませんが、挙げるとしたら以下のような物です。私自身は「SBI・バンガード・S&P500」と「eMAXIS Slim 全世界株式」を積立額の半分ずつ買っていますが、どれを選んでも大きな間違いはありません。

なんでこれだけでいいの?

理由はロボアドとほぼ同じです。これらのファンドはアメリカ又は全世界の株式市場全体に投資します。従ってアメリカ市場か世界市場が右肩上がりである限り、資産はそれに連動して成長します。要するに米国市場のS&P500指数に連動するか、米国市場全体に連動するか、世界市場に連動するかの差だけです。「なんで米国と全世界を並べるんだよ」と思われるかもしれませんが、世界的なパワーバランスや経済力を見ても分かる通り、米国市場というのは世界市場と並列にしても問題無い程度のパワーを持っているから、とでも理解しておけばとりあえずOKです。勿論、米国市場「だけ」がダメージを受ける事態が発生した場合、全世界の方がダメージは少ないでしょうが、全世界といってもその割合の多くは米国市場*4ですし、世界経済は各国経済がリンクして出来上がっている以上、米国単体でダメージを受けるということは考えづらいのではないでしょうか。リーマンショックは近視眼的かつ極端な見方をすれば、米国内の一企業が破綻しただけですが、その影響が世界中に広まったというのはご存知の通りかと思います。

ロボアドとの違いは何?

大まかに言うと2点です。

  1. 信託報酬(要するに運営元に払うお金)の割合。
  2. 株式のみに投資するか、貴金属や不動産、債券を組み入れるか。

ロボアドバイザーの手数料については、色々と違いはありますが、年率1.0%程度です。それに対し、「SBI・バンガード・S&P500」を例にとると信託報酬(=手数料)は年率0.0938%です。要するに運営元に支払う金額が違う、というのが大きな違いです。また、ロボアドバイザーは自身のリスク許容度に合わせ、金などの安全資産や株式より変動率が低いと言われている債権等を組み入れてくれます。一般論として、債券は株式よりリスクが低く*5、不動産は株式とは連動しづらいと言われます。貴金属は何も生み出さない代わりに、現金がスポイルされるのを防いでくれます。要するに、ロボアドの場合は、株式とは別の性質を持つ商品を勝手に組み合わせることで、何も考えずとも株式のリスクを抑えてくれる、という事です。

投信を買うタイミングはどうすればいいの?

まず、買うタイミングについては何も考えず、出来るときに実行してください。つまり、毎月20日に3万円ずつ積み立てで買うのであれば、それを何も考えず淡々とこなして下さい。一時所得が出来て、そのうちいくらかを投資に回すのであれば、出来るだけ早めに買ってください。重要な点は、「安い時に買おう」としないことです。短期的な投資をするのであれば、「安い時に買う」ことが全てですが、ここで紹介しているのは「長期に渡って市場の成長に合わせて資産を増やす」ことです。もし、1ヶ月前よりも値が下がっていたとしてもそれは一時的な物です。いずれ右肩上がりになるのであれば、長期的に見れば常に「今が一番安いとき」だと思って、買いましょう。

投信を売るタイミングはどうすればいいの?

この点は非常に簡単です。「現金が想定以上に必要になったら」です。後述しますが、自分の資産のうちどの程度を投資に回すかは考え方やライフステージによって大きく変わります。例えば、100万円を現金として保有し、100万円分の投信を保有しているとして、150万円の現金が必要となった場合、50万円分の投信を売れば良いだけです*6。ただし、この例で言うと、①100万円の現金+50万円の投信現金化 ②50万円の現金+100万円の投信現金化のどちらが良いかというと、端的に言えば①の方が望ましいです。NISAやiDeco口座でない限り、投資で得たリターンの20%程度が税金として徴収されますが、例えば100万円を年10%のリターンで運用し、5年間利益を確定し投資しなおした場合と、5年間保持し続け、最終的に売却した場合の利益を考えてみましょう。

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 合計
毎年利確 8万円 8.64万円 9.33万円 10.07万円 10.88万円 46.93万円
5年間保持 0万円 0万円 0万円 0万円 48.84万円 48.84万円

最終的に差分が出ていますが、これは税金として持って行かれる分を投資に回せたかどうかによって発生しています。勿論、これは仮の例ですが、税金を取られるタイミングを先延ばしにすると、投資の元金の観点から有利になるため、出来るだけ投信の現金化は先延ばしにしたほうが良いということがお分かりいただけるかと思います。

積み立ては全部投資に回せということ?

いいえ。そこの配分はご自身のライフステージとリスク許容度に合わせて決定してください。100-年齢を投資に回すと良いなどとよく言われますが、流石にそれは単純化しすぎだと思います。私自身は、何かあったときの生活防衛費や教育費、次年度支払う諸々の税金向けの貯蓄などを全て除外した上で、貯蓄に充てられる額の約半分を投資に回すようにしていますが、この点は人のやり方は参考程度にしかならない部分です。

損失が怖いんだけど。

インデックス型ファンドにおける理論上の最大損失は資産価値が0になる事*7です。例えば、投資比率が現金:インデックス型ファンド=50:50だとすると、50%の資産を失うリスクがあるわけですが、インデックス型ファンドが世界市場(or米国市場)全体に投資をしている以上、その価値が0になるということは現在の世界秩序が崩壊したFalloutな世界が来るということになるため、そこまで心配する場合はヌカ・コーラのキャップを貯めておいた方が良さそうです。現実的なリスクとしてはリーマンショックや昨今のコロナショックのような暴落が考えられますが、この場合の市場全体の最大下落率は概ね50%~60%程度であるため、現実的に起こり得る最も深刻なリスクとしてはその程度を捉えておくべきでしょう。
ただし、この下落率についても「リーマン・コロナショックが起こる直前を100とした場合」である以上、「リーマン・コロナショック直前に投資を開始し、いきなり株価が50%下がった」という事故に近いケースです。記載したように1月に1度買っていけば暴落した後にも購入することになり、世界経済が回復すれば長期的にはプラスリターンになるはずです。従って、リスクを意識する事は大事ですが、長期投資がそのリスクを和らげてくれる以上、必要以上にリスクを怖がってしまったり、暴落したことで投資を止めてしまったりすると、逆に機会損失になる可能性が高い事は念頭に置くべきです。

(参照:三井住友DSアセットマネジメントによるレポート)
https://www.smam-jp.com/documents/www/market/report/focus/global/20200327_COVID19_es1k.pdf

NISAやiDecoの活用は?

NISA or つみたてNISA、iDeco、企業型DC、ジュニアNISA、についての活用についてですが、こちらについては以下の通りです。

名前 おすすめ度 説明
NISA or つみたてNISA 間違いなく限度額目いっぱいまで活用するべき。メリットだけあってデメリットは無い。
iDeCo 余剰資金のさらに余剰資金で活用するのはあり。60歳まで引き出せないという資金の流動性の低さが気になる。
企業型DC 本記事で取り上げたような低コストかつインデックス連動型などの良い商品が用意されているのであればマッチング拠出*8をしても良い。
ジュニアNISA 元々、子供が20歳まで引き出せない制度のため、使い勝手が悪かった。ただし、制度終了に伴って2024年から自由に引き出せるようになるそうなので、その点で有用性UP。

どの制度も税制的な優遇があるため、通常の口座(特定口座)よりはメリットがありますが、私の投資手法は資金をロックインする事を基本的に想定しておらず、引き出したいときに引き出せることが望ましいため、その点でNISAやつみたてNISAと比べると他の3つは少々優先度が下がります。ちなみに、現状私はNISAと企業型DCのマッチング拠出を併用していますが、企業型DCに用意されている商品が全然魅力的でないので、企業型DC加入者がiDeCoを併用できるようになった段階で、企業型DCのマッチング拠出をやめ、iDeCoを使おうと思ってます。

ロボアドのように債券や不動産などには投資しなくていいの?

オールウェザーポートフォリオという考え方があります。アメリカのヘッジファンドマネージャーであるレイ・ダリオ氏が考えた物ですが、このポートフォリオは「いかなる状況にも対応できるように分散された」ポートフォリオであり、比率として
株式:長期債*9:中期債*10:ゴールド:コモディティ*11=30%:40%:15%:7.5%:7.5%
の割合で投資することで、株価暴落のような場合にもリスクを下げる効果があるという考え方です。
www.iwillteachyoutoberich.com

が、私自身はこの方法は取りません。理由は単純で、債権をまともに買おうとすると資金の流動性が下がる(償却まで保有し続けるため)ことと、ゴールド・コモディティの考え方については先の「世界市場全体の成長」のようなロジックが見えていないからです。バックテスト*12では良い成績を収めているそうなので、「いかなる状況にも分散された」ということは資産全体の暴落を防げる=精神的動揺を防げるという観点では有用かもしれませんが、それであればロボアドに投資してしまったほうが手間や資金流動性の観点からはいいような気がします。


本質的な部分はここで終わりで後は蛇足です。Lv1又はLv2の投資が出来ていれば投資した資産は世界経済に紐づいて成長していくでしょう。


個別株やアクティブ型投信にも手を出したい。(Lv-1)

「楽にある程度のリターンを狙って投資をしてみたい」というのであれば、上記2つで十分です。むしろ、それ以外の事に手を出すと最終的にはパフォーマンスが落ちる可能性が高くおススメはできません。しかし、それでも「趣味として」投資にもう少し手を出してみたい場合のみ使う方法です。

個別株やアクティブ型投信でリターンを得ようとする行為は先ほどの「市場全体に投資」と異なり、世界経済の成長以上のリターンを得ようとする行為であって、はっきり言ってしまえば、素人が手を出すのはギャンブルと変わりがありません。また、個別株やアクティブ型投信に手を出すようになると、普通の精神力の人(私の事)は日々値動きをチェックし、それに無駄な一喜一憂をすることになります。要するに、無駄に自分の時間を割く事になり、かつギャンブル性が高い物に手を出す行為であることを十分に認識したうえで手を出すべきです。

手の出し方

先の2つの方法と異なり、個別株・アクティブ型投信自体の銘柄選定の考え方はありません。何故なら、これはギャンブルに近い行為である以上、競馬の予想方法に「これで勝てる!」などいうものが無いのと同じく、個人が好きな物を選ぶ他ありません。ただし、それでもあえて言うのであれば、以下の方法である程度のリスク低減が出来ると思います。

「ロボアド or インデックス型投資」と「ギャンブル投資」は口座を分け、9:1程度の割合にする。

先に書いたロボアド、インデックス型投資とこのギャンブル投資は完全に口座を分けるべきです。私はインデックス型投資にSBI証券、ギャンブル投資は楽天証券と分け、ギャンブル投資のお金は自身の趣味用財布や独身時代の一部資産からのみ拠出し、家庭全体の財産からは一切のお金を入れないようにしています。この9:1というのは「全資産」ではありません。「投資に回せるお金」のうちの9:1です。例えば100万円の資産があり、投資に回す割合を4割とするのであれば、現金:インデックス投資:ギャンブル投資=60万円:36万円:4万円の割合になります。フルインベストメント*13の場合は、9:1よりさらに低い割合でギャンブル投資を行うべきでしょう。というより行わないほうがホントはいいのですが…。この方法は私が何となく実践していた方法ではあるのですが、調べたところ「コア・サテライト戦略」という名前がついているそうです。
https://www.vanguard.com.au/adviser/en/core-satellite

個別株を買う場合、インデックス投資に組み入れられている株から選ぶ。

先に書いた通り、個別株やアクティブ型投信は好きな物を選べばよいですが、それでも多少リスクを下げるのであれば、インデックス投資に組み入れられている個別株を選ぶことで多少はマシになるかもしれません。例えばですが、ロボアドのところで説明したVTIについて言うと、組み入れ銘柄の上位5位はAppleMicrosoftAmazon、Alphabet(Google)、Facebookです。
www.vanguardjapan.co.jp
要するにインデックス投資を運用しているプロたちが「この銘柄は市場を占める割合が大きい」と判断しているわけで、インデックス投信と若干の相関性を持つ以上、やみくもに選ぶよりは若干マシなはずではあります。

仮想通貨や貴金属は?

これらはあくまで「お金の代わりに価値を保存する目的の物」であって、「投資」とは言えないと考えます。要するに、株式への投資の場合、投資家が出したお金で会社がさらに利益を生み出せばお金がお金を生んでいくことになりますが、仮想通貨や貴金属はそれ自体がお金を生み出さないため、ここで安定的にリターンを得られる人は個別株でリターンを上げるよりも至難でしょう。

全体のFAQ的な物

いろいろな物に手を出したとあるが、何故今は投信メイン+ロボアド・日米株なのか?

結局のところ、子育てや仕事に追われる中で時間をかけずに安定的なリターンを期待するのはインデックス投資が最も時間のコストパフォーマンスが良いからです。投資に手を出し始めた頃は今よりも時間があり、テクニカル分析ファンダメンタル分析の本を読み漁り、週刊ゴールデンチャートも毎週買って…などということもやっていましたが、リターンは得られても掛ける労力が大きく、その情熱を維持し続ける事は中々難しいものがありました。仮想通貨なども話題になり始めの頃に買い、加熱したころに売るなどという所である程度のリターンを得られましたが、たまたまIT業界にいたからちょっと人より先に買えたというだけで、運以外の何物でもありません。
そのため、とりあえずインデックス投信やロボアドを使い、たまーに気が乗ったときに趣味のお金で個別株やアクティブ型ファンドを買うくらいなスタイルが時間とリターンの割合について一番収まりが良かった、といった所です。

ロボアド投資とインデックス投信は両方手を出すべき?

両方手を出してもいいし、片方だけでもいいと思います。どちらも大した手間はかからないので、興味があれば両方やれば良いですし、片方でもいいです。手間や興味などを完全にニュートラルな状態でどちらをやるべきかと言われたら、NISAが使えるという理由でインデックス投信でしょうか。

企業型DCにマッチング拠出はするべき?

これはYESともNOとも言えません。用意されている商品次第です。私の勤めている企業の企業型DCはお世辞にもラインナップが良いとは言えず、インデックス型投信の信託報酬が高かったり、アクティブ型投信は全然パフォーマンスの上がっていない商品しか無かったりして、正直マッチング拠出しているのが馬鹿らしい状況です。ただ、税制上の優遇という観点では強いため、商品に魅力を感じるものがあればマッチング拠出して損は無いでしょう。

終わり

以上です。予想以上に長くなってしまいましたが、やるべき内容は単純です。日本政府の目標インフレ率は2%と言われていますが、これが仮に達成される場合、お金を持っているだけでは、どんどん目減りしていくことになります。昨今のコロナ禍で身にひしひしと感じるところですが、人が動けば価値が生み出され、それが経済に反映されていきますので、株式への投資は人が生み出す価値を自分の資産に還元できるという点で、非常に有意義なものかなと思います。

*1:所有株式が10倍の価格になること

*2:WealthNaviは自身で設定したリスク許容度に従ってこのバランスは変わるため、全員がこうなるわけではなさそうです。私のリスク許容度は5段階中5で設定しています。

*3:市場で買える投資信託

*4:全世界というのは「各国市場を均等に内包している」ではありません。例えば「eMAXIS Slim 全世界株式」の投資比率は、日本株が7.1%、日本を除く主要国が81.1%、新興国が11.1%です。

*5:ここでいうリスクは「悪い事」というより「不確実性」や「値動きの幅」とでも解釈してください

*6:当然ながら現金も投信も余剰資金であるという大前提です。

*7:要するにお金は無くなっても借金を背負うことは無いということ

*8:会社のお金に加え、個人で追加のお金を払うこと

*9:お金が帰ってくる期間が10年以上の国債

*10:5年以内にお金が帰ってくる国債

*11:原油や食料などの商品

*12:過去のデータでの検証

*13:全資産を投資に回す

【資格】技術士二次試験(情報工学部門) 口頭試験編 後編

色々あってだいぶ遅くなってしまいました。口頭試験ももう直前だと思いますが、後編を投稿します。
言い訳で申し訳ないのですが、この記事に書いてある対策は11月上旬~中旬から12月の試験に向けて集中的に実施しましたので、まだ間に合わないという事は無いはずです。

■出願まで:
pioneerinocean.hatenablog.com

■筆記試験対策:
pioneerinocean.hatenablog.com

■口頭試験編 前編:
pioneerinocean.hatenablog.com

口頭試験対策の方法

私自身が実施した口頭試験対策は2点に集約されます。

  • QAリストの作成とそれを使った練習(「QAリスト法」と勝手に呼んでいます)
  • 知識問題の学習

口頭試験の練習と言えば、やはりなんといっても模擬面接かと思いますが、私は受けませんでした。家族に面接官役をしてもらう方もいらっしゃるようですが、そちらもやっておりません。

QAリスト法

QAリストの作成

名前を付けるほどの事では無いのですが、面接試験では汎用的に使える練習方法なので、就職試験から技術士試験に至るまでこの方法を使い続けています。端的に言ってしまうと、 面接官の立場に立ってQを作り出し、Aを考える作業を延々と繰り返す だけです。

私自身のやり方としては、テキストエディタatomを使ってMarkdown方式でひたすらQAを作っていきました。
atom.io
atomである必要もないですし、Markdownで無くとも良いと思うのですが、Markdownを使うと、

- この業務で最も苦労した点は何か?
  - ○○を△△する点で苦労したが、◇◇といった工夫で対処した。
    - しかし、それでは××という問題点が出るのでは?
       - その点は■■という対応方式を検討し、対応する事を予め考えておいた。

というような形で延々と一つの質問から関連質問をぶら下げていくことができ、深堀してくのに視覚的に分かりやすいというメリットがあったことが大きいです。

肝心のQAリストをどのように作るか、という点は他の方の受験体験記(合否・部門関わらず)をひたすら読み漁って、基本的に出るであろう質問をピックアップし、そこからの関連質問は自分で考える、という作業になります。他の方の受験体験記やよく出る質問は、ネットで調べてみると大体出てきます。一般的に聞かれるといわれる「業務経歴」や「業務内容の詳細の説明」等も含め、全てQAリストにまとめます。

質問を考えるときは出来るだけ自分が聞かれたら詰まりそうな点を考えてみると良いです。そうやって考えた質問と回答は、本番で該当する質問が出なかったとしても、考えた結果が本番で出てくる質問の回答に転用できるケースが多いからです。(技術士試験は一度しか受験していませんが、今まで受けてきた口頭試験から得た経験則です。)

なお、筆記試験の答案に関する質問が来る可能性があるため、自身の答案を思い出し、筆記試験の問題に対する回答を再度練り直す作業も実施しました。私の場合、実際に筆記試験に絡めたと思われる質問を受けました。

練習

QAリストが"ある程度"出来たら、Aに該当する部分を実際に声に出し、スラスラしゃべることが出来るよう練習します。特に「業務経歴」「業務内容の詳細」に関わる部分は時間を指定されるケースもあるため、3分や5分などのパターンに分けて話しきる事ができるような練習を繰り返しました。声に出して覚える、という事も重要なのですが、口頭試験は誰でも緊張しますので、その時にテキストで覚えているのと、発話という運動ベースの練習を積んでいるのでは、雲泥の差があります(少なくとも私はそう思ってます)。

Qの部分は特に読む必要はなく、試験官を想定して口で聞かれた事を想像し、ひたすらAの部分を繰り返します。重要な点はこの作業はQAリストが完成する前から行う事です。もちろん、完璧なQAリストが出来上がってからやる形でも良いのですが、実際に発話してみると、「文語体で読みづらかった」「助詞がくどかった」等の問題が絶対に出てきます。そのため、QAリストの作成⇒練習というよりは、実際はこの作業を同時並行で進め、QAリストのブラッシュアップを繰り返し続ける、というような作業になるはずです。

知識問題の学習

知識問題とは、口頭試験で聞かれる技術士法などに対する対策です。これは全受験者が同じような回答をすることになるため、比較的対策が容易です。私の場合は以下の参考書を見て勉強しました。

知識問題はそれほど覚える事が多いわけではなく、技術士制度に関わる内容を覚えるだけのため、それほど苦労はしないと思います。ただ、人によって聞かれ方は異なるため、技術士法上の定義などはある程度しっかり読み込むことをおススメします。

なお、この本は知識問題部分だけでなく、口頭試験全般について扱っています。私の場合、QAリスト法の練習を主眼に置いていたため、それほど読み込みませんでしたが、代表的な質問等は載っているため、その部分はある程度参考にしました。

模擬面接を受けなかった理由

技術士試験の対策サイトを見ていると、大体のサイトに「模擬面接は受けるべき」と記載してあります。私も基本的にはその意見に賛成です。受けられるのであれば受けるべきだと思います。私が受けなかった理由は模擬面接に払う対価と受ける事のメリットが私にとってはあまり釣り合わなそうだ、と考えたためです。*1

まず、模擬面接の最大のメリットは本番の空気感を何となく知れることだと捉えているのですが、そのメリットが大きな方は是が非でも模擬面接を受けるべきだと思います。万人に通用するわけでは無いと思うのですが、私の場合、本番の試験でガチガチに緊張する事は無さそうという感触があったため、このメリットはあまり大きくないと感じていました。

次のメリットとして「自分も思いもよらなかった方向からの質問を受ける事が出来る」というのもあると思います。これも非常に大きいと思うのですが、技術士試験は国家試験である以上、試験官に差異はあれど、ある程度の枠組みが決まっておりそこから外れる事はそうそう無いはずと考えていたため、受ける大きな理由にはなりませんでした。あくまで私の捉え方のため、ご参考までに。

最後に「豊富な経験を持つ模擬面接官からの指導を受ける事が出来る」というのもあるかと思います。これは明確に不要だと考えていました。「意味が無い」と思ったというわけでは無く、私の場合、指導を受けると、それが気になって本来作り上げたものを練り直す事に繋がり、かえって調子を落とすのではないかと思ったためです。試験申込書の作成・筆記試験・口頭試験と全ての対策を同じ講師の方に受けられているのであれば、強力に効果を発揮すると思うのですが、「口頭試験だけ」だとそのようなデメリットがあるのでは?と思ったことが原因です。

否定的な論調となってしまいましたが、これは「コストパフォーマンス」の問題であって、3点目の指導は不要と考えていたものの、その他の2点はメリットだと考えており、単に費用対効果が自分にとっては少ないだろうな、という観点で受けなかったという事のため、ご自身のとってそのコストが払うに見合う物であれば、迷いなく受けられることをおススメします。

最後に

私は幸い一次・二次共に初回受験で合格を勝ち取ることが出来ました。運もあったと思いますが、このブログに書いた内容を繰り返し実施していたことが突破に繋がったと思っています。技術士になったからと言って、自分の能力が底上げされるわけでは無いのですが、やはり「凄い」と言って頂く事もありますし、何より自分の自信に繋がっていると思います。情報工学部門の技術士受験情報は本当に数が少ないと思いますが、もしこの記事がどなたかの受験の役に立ったのであれば幸いです。ぜひ、合格をつかみ取ってください。

*1:あくまで私の考え方です。受講費を安いと感じていれば受けたと思います。

【資格】技術士二次試験(情報工学部門) 口頭試験編 前編

前回まで出願までと筆記試験対策について書きましたが、完結となる口頭試験について記載していきます。口頭試験片は非常に長くなりそうですので、前編後編に分けて記載します。

■出願まで:
pioneerinocean.hatenablog.com

■筆記試験対策:
pioneerinocean.hatenablog.com

口頭試験について

受験者の方には説明するまでも無いかもしれませんが、口頭試験は

  • 筆記試験に合格した人のみ
  • 筆記試験の実施された年の11月下旬~翌1月中旬のいずれかに実施*1

という形で実施されます。私は筆記試験に合格しているとは思っておらず、口頭試験実施時期に色々予定を入れてしまっていたため、口頭試験実施の通知が届いた後、慌てて予定調整を行う事になってしまいました。口頭試験の実施日は「いかなる理由でも」変更出来ません。筆記試験に自信がなかった方も、合格の可能性を考えて当該期間は出来るだけ空けておくようにしましょう。

私の口頭試験体験記

私自身の口頭試験についても当日の流れと共に記載しておきます。

  • 受験日:12月上旬の某休日 午後昼過ぎ
  • 場所:フォーラムエイト
  • 筆記試験の結果:選択科目Ⅱ:A 選択科目Ⅲ:B
試験開始まで

普段はスーツを着ないで仕事をしているため、久しぶりにスーツとネクタイを締めて余裕をもって渋谷に向かいました。服装の指定はありませんが、スーツ以外の選択肢は基本的に無いと思ったほうが無難です。

かなり早めに着いたため、飲食店で食事と業務経歴の最後の見直しを行ってから、フォーラムエイトに到着しました。フォーラムエイト到着後、試験票に指定された受付にて、試験票を見せて名前を伝えると、自分の試験会場と待合室を案内してくれます。試験開始前までは、待合室で待機することになります。*2

待合室は非常に広く、試験に臨む方が大勢待っています。無言で直前の見直しをしている方がほとんどですが、別の受験者と話をしている方もいました。私のすぐそばには、初対面の受験者同士で直前の見直しをしている人などもおりました。

試験直前10分前くらいに、待合室を出てトイレを済ませてから会場のある階に向かいます。各会場の前には椅子が一つ置いてあり、前の受験者の試験が終わるまではそこに座って待つことになります。前の受験者の試験が終わり次第、ドアが開いて試験官の方から中に入るよう声をかけられます。

口頭試験開始

口頭試験そのものについては、流れを思い出しながら記載します。試験官の方は50~60代の大学教授風の女性(試験官Aとします)と、官庁に務めていそうな40代くらいの男性(試験官Bとします)でした。主に女性の方から質問がされました。

試験会場は会議室のような部屋ですが、就職活動の面接のように、試験官と対面する形で試験を行います。入室後、椅子の隣に立って自分の名前と受験番号を告げると、「お座りください」と促されます。人に依っては着席後、場を和ませるような話をされることもあるようですが、私の場合はすぐに質問が飛んできました。

なお、以下の問答のうち、赤字箇所は私が想定していなかった、又は対応に苦慮した質問です。

試験官A(以下"試A")「では、業務経歴をどのような立場かを添えて簡単に3分程度で教えてください。」
私「業務詳細の部分は除外してよろしいでしょうか。」
試A「経歴の部分だけ簡潔に教えて下さい。
私「承知いたしました。まず、私は〇〇株式会社に・・・~以下略~」

試A「そのプロジェクトの中で、失敗事例はありますか。」
私「はい。○○のプロジェクトで△△という技術を使ったのですが、これは□□という処理を行うには非常に都合がよかったのですが、ユーザ側のインタフェースが限定される事と利用時に学習コストがかかるという問題を引き起こしてしまいました。」
試A「その失敗をどのように活かしましたか。」
私「現在やっている××の技術開発では、インタフェースを分かりやすくするため、tsv形式やRestfulなAPI形式でユーザや他システムとの境界点を分かりやすくするよう心がけています。」
試A「それだけではないと思いますが、他には何かありますか?
私「他には導入障壁を下げるために■■といった工夫をしたりしています。」

試A「別の分野について聞いていきます。AIについてですが、これを用いた開発で気を付ける事は何だと思いますか。」
私「AIとは機械学習を用いたコンポーネントとして捉えられると思いますが、テストパターンを作ることが難しいと考えます。」
試A「それはなぜですか。」
私「機械学習によって作成されたモデルは、入力によって何を返すかを事前に知ること、またそれが正確であるかどうかをテストケースとして事前に定める事が難しいからです。」
試A「ではそれをどのように解決しますか。」
私「私自身がそのような物を扱った経験から申し上げますと、モデル部分のテストとそれをコンポーネントとしてみたときの部分のテストを分けて考える事が重要だと思います。」

試B「今、テストのお話がでましたが、IoTのおけるテストについての問題は何がありますか。
私「IoTは様々なデバイスやシステムが繋がっていく形になるため、相手のインタフェースを想定したテストが必要になります。」
試B「それについての解決策は何かありますか?
私「自分の開発するコンポーネントについては、あらかじめインタフェースの仕様を定め、スタブやドライバに相当するモノを予め作って配布する事で、対向先の負担を減らすことができると思います。」

試A「技術士の3義務2責務について教えてください。」
私「はい。3義務が信用失墜行為の禁止、秘密保持の義務、名称表示の場合の義務、2責務が公益の確保と資質向上の責務です。」
試A「技術士として、今後はどのように貢献するつもりでしょうか。*3
私「えー、そのご質問は先ほどの3義務のお話に関連してでしょうか。」
試A「それでもいいですよ。
私「信用失墜行為については社会的な問題になるケースが多いため、それになりかけてしまった事象を積極的に社内共有するなどを行っていくことが重要だと思います。」
試A「信用失墜行為について仰っていますが、もしあなたがそのようなケースに遭遇してしまった場合はどうしますか。」
私「まずは利害関係者、直属上長と相談し、解決を試みたいと思います。」
試A「それでも解決しなかった場合は?」
私「社内の広域通報窓口がありますので、そちらに相談します。」

試A「ちなみにあなたの会社に技術士会はあるのですか?
私「はい。あります。入会したいと考えています。」
試A「何人くらい所属しているのですか?
私「申し訳ありません。具体的な人数までは把握しておりません。」
試A「これで試験を終わります。ありがとうございました。」
私「ありがとうございました。」

少し抜け漏れがあるような気がしますが、おおむね上記のような形です。時間としては20分と言われていたところ、18分で終了しました。文字にすると、私がスラスラ答えているように見えますが、実際はもっと多くの言葉数を費やしていたりすることが多いです。

私の口頭試験について

見ていただくとわかる通り、かなり想定外の質問がありました。

  • 「業務詳細」を中心に業務関連の話が展開されるはずが、そこをカットされた。
  • IoTについては受験年度の筆記試験では特に触れられていなかった。
  • 技術士としての貢献については話の流れから唐突に聞かれた。
  • 自社内の技術士会について聞かれるケースは想定外、ましてや人数まで聞かれるとは。

まず、1点目の「業務詳細」は口頭試験の中心となると聞いていたため、これをカットされるケースは想定外でした。結局、口頭試験中、私の提出した「業務詳細」について問われることはありませんでした。

2点目のIoT関連の話題については、全く想定外でした。試験問題がAIについてであり、そこの評価がBであったので対策はしていたのですが、IoTはその前年度で取り上げられた話題であったので、突然聞かれることは想定をしておりませんでした。

3点目の「技術士としての貢献」は問答としては想定していたのですが、その直前に3義務2責務の話から、合間を置かず聞かれたため、「3義務2責務に関する質問なのか」と私が誤解していたようです。試験官の方とのやり取りを冷静に思い出すと、恐らく3義務2責務以外の部分について求められていたような気がします。

4点目は「技術士会に入会するか?」という質問は想定していたのですが、「社内の」技術士会について聞かれることは想定外でした。私の所属企業はそれなりに大きい企業のため、技術士会が存在するかもしれない、と思われたのかもしれません

上記4点の想定外質問もそうですが、はっきり言って試験官が求めている物ではない回答をしてしまっている部分もあったと思います。ですが、結果は合格しておりましたので、口頭試験の態度としては、

  • 想定外の状況でも黙り込まないこと。その場で頭を回すこと。
  • どうしても分からないことは分からないと言ってしまうこと。
  • もし、言ったことを否定されても、落ち込んだり喧嘩腰にならないこと。
  • 頓珍漢な回答をしてしまったとしても、別の質問で取り戻せば良いと思うこと

といったところを順守する事が重要だと思います。

*1:試験要綱では「指定する日」としか記載がありませんが、土日以外の実施は無いようです。祝日の実施があるのかは不明です。

*2:受付・待合室・試験会場は同じビル内ですが、別の階でした。

*3:少し記憶が怪しいです。