Railway gun

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立憲民主党の憲法に関する考え方がダブスタっぽく見えてしまう。

新たな立憲民主党が誕生したとの事なので、政策やら何やらを見てみた。新たなといっても実質立憲民主党に国民民主党の一部が吸収されたという感じなので、合併前の立憲民主党とほぼ変わっていない様子。

その中で一つ気になったのが憲法の部分。

cdp-japan.jp

内容については2018年に決定した物がそのまま載せられているので、特に変わっていない様子だが、読んでいて少々ダブルスタンダードな感じを受けてしまった。

安全保障施策の部分については以下の様に記載されている。

立憲民主党のサイトより一部引用>
日本国憲法9条は、平和主義の理念に基づき、個別的自衛権の行使を容認する一方、日本が攻撃されていない場合の集団的自衛権行使は認めていない。この解釈は、自衛権行使の限界が明確で、内容的にも適切なものである。また、この解釈は、政府みずからが幾多の国会答弁などを通じて積み重ね、規範性を持つまで定着したものである(いわゆる47年見解。巻末参照)。

この点については特におかしいところは無い。集団的自衛権を認める認めないはさておき、集団的自衛権の否定は過去の解釈からして規範性を持っているから認められないというのは、何となくわかる。しかし、その後ろの同性婚についてについては以下の様に書かれている。

立憲民主党のサイトより一部引用>
ところで、安倍総理は、「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」、「同性婚を認めるために憲法改正を検討すべきか否かは、我が国の家庭のあり方の根幹に関わる問題で、極めて慎重な検討を要する」と述べている。
この点、憲法24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とされているため、同性どうしの結婚はできないようにも読める。
しかしこの条文は、結婚相手を強制的に親が決めたり、戸主や親の承諾を必要とする戦前の「家」制度から、婚姻をするかどうか、婚姻をだれとするかを本人の自由意思に解放する趣旨である。そうだとすると、異性婚は両性の合意のみによって成立することを定めたものと制限的に理解すべきであり、同性婚について禁止する規範ではないと考える。
憲法の学説でも、同性婚については禁止されていないが、これを採用するかどうかは立法裁量であるという考え方が一般的なようである。

この点についても同性婚を認める認めないはさておくが、今まで「結婚」というのが異性間でのみ認められていた事実については、「規範性は無い」という解釈なのだろうか。集団的自衛権については今まで認められてなかったから規範性があるというのはわかるが、そうであるならば同性婚は今まで認められてなかったことについては、「規範性はある」と解釈されてもおかしくなさそうだが、安全保障法制や自衛隊加憲のところに見られるスッパリと「立憲主義に反する!」と言い切る文言に比べるとゴニャゴニャしたものを感じる。「憲法改正同性婚を可能にすべき!」とはやはり言いづらかったのだろうか。

また、「文民統制」「国政調査権」の項ではドイツ基本法を、「衆院の解散」の点ではイギリスの法律を補強的に使っているが、そうだとすると「自衛隊加憲論」のところでドイツやイギリスについて引用していないのは何故なのだろうか。イギリスは成文憲法でないからと辛うじて言えるが、ドイツ基本法では徴兵制の規定や軍の規定が明示されている。

https://www.gesetze-im-internet.de/gg/BJNR000010949.htmlからドイツ語版を引用
Art 12a
(1) Männer können vom vollendeten achtzehnten Lebensjahr an zum Dienst in den Streitkräften, im Bundesgrenzschutz oder in einem Zivilschutzverband verpflichtet werden.
男性は、満18歳から軍隊、連邦国境警備隊または民間防衛団における役務を義務として課す。

Art 87a
(1) Der Bund stellt Streitkräfte zur Verteidigung auf. Ihre zahlenmäßige Stärke und die Grundzüge ihrer Organisation müssen sich aus dem Haushaltsplan ergeben.
連邦(ドイツ政府の事)は防衛のために軍隊を置く。軍隊における兵数、組織の基本体制は予算を以て明確でなくてはならない。

誤解無きように書くと、自分・組織の主張において切り取り方によって整合性に齟齬をきたすのはよくある話ではあるし、自民党においてもその点は同じ。ただ、立憲民主党は「まっとうな政治」を標榜しており、立憲主義を掲げる以上、この手の部分についてはやはり統一感を感じる書き方をしてほしいと願いたいところだ。